「レビュー指摘」との向き合い方

エンジニアが成長するチャンスに変える思考法

はじめに

Sierに配属された新人エンジニアが最初に経験するのは、詳細設計~単体テストまでの下流工程の開発です。

このフェーズを担当することには、明確な理由があります。
それは将来、レビューする立場になったときに備えて、「レビューされる側」を経験することが、レビュー能力を高める一番の近道だからです。

今回は、レビュー指摘とどう向き合うべきか。
そして、指摘を通して自分をどう成長させるかについてお話します。

指摘=“成長のチャンス”と捉える

レビューで大量の指摘を受けると、「自分はダメだ」と思ってしまいがちです。
でも、それは逆です。

指摘の数は、あなたが今後伸びる可能性の数。

だからこそ、落ち込むのではなく「ここからどう改善できるか?」に意識を切り替えることが大切です。

✅ 向き合い方①:根本的な原因を深掘る

指摘を受けたときにまずやるべきことは、「なぜそれが発生したのか?」を根本的な視点で分析することです。

特に新人のうちは、「知識が足りなかったから」と思いがちですが、それは表面的な理由に過ぎません。

知識がないのは当然。問題は「その知識を得るチャンスがあったのに、なぜ得られなかったのか?」です。

たとえば、

  • 設計書や仕様書など“実物”を見ずに、自分の経験だけで判断していた
  • インプットすべき資料の優先順位を間違えていた
  • 作業時間に追われ、確認を怠ってしまった

など、本当の原因は別のところにあることがほとんどです。

🔁 「なぜ?」を3~5回繰り返してみてください。
一度きりの個別なミスではなく、今後も繰り返しそうな“自分のパターン”に気づくことができます。

この“気づき”こそが、レビューの最大の価値です。


✅ 向き合い方②:効果的かつ再現性のある対策を考える

原因が見えたら、次は「どうすれば防げるか?」を考えるフェーズです。

ここで重要なのは、次の3つを満たした対策の質です:

  • 個別具体的な対策ではなく、汎用的・再現性があること
  • 現実的に実行可能であること
  • 自分の生産性や品質を上げる“根本的な改善”につながること

たとえば:

❌「次はもっと調べてからやる」
✅「まず上位設計書の対象範囲を読み、関連する過去成果物を参照してから設計を始める」

一見地味ですが、“毎回繰り返せる・確実に効果がある”ような対策こそが、本当に価値ある対策です。

“自分の課題”の分析が最大の成長ドライバー

開発が進んでくると、課題を洗い出すよりも「まず作業を進めたい」という気持ちになります。
また、開発が終わった後には、「品質の分析」は行っても、自分自身の課題に対する分析は後回しにしがちです。

でもそれでは、成長できるチャンスの半分以上を捨てているようなもの。

プロジェクトとしての第一の目的は「品質の高いシステムを納品すること」ですが、
エンジニアとしてのあなたにとっての目的は、「開発経験を通じて自分のスキル・単価・生産性を上げていくこと」です。

そしてそれは、自分の課題と向き合い、少しずつ潰していくしかありません。

課題・原因・対策は「書き出して」資産化せよ

課題分析をやりっぱなしにせず、必ず記録に残しましょう。

  • どんな指摘を受けたか
  • なぜそれが起きたか(根本原因)
  • 次にどう防ぐか(実行可能な対策)

これらを1つのドキュメントやノートにまとめておくだけで、次の開発前に見返すことができます。

これによって得られるメリットは2つ:

  1. 同じ課題を繰り返さない
  2. 新たに出てきた課題にフォーカスできる

このループが回り始めると、成長速度が目に見えて加速していきます。

まとめ:指摘は“成長の種”。向き合い方がすべてを変える

レビュー指摘は、あなたの弱点を指摘するものではありません。
“ここを直せば、もっと伸びるよ”というアドバイスなんです。

  • 表面的な原因にとどまらず、根本から振り返る
  • 再現性があって効果的な対策を見つける
  • 自分の課題を分析し、蓄積して、次に活かす

このサイクルを繰り返せば、エンジニアとしてのスキルも、成果物の品質も、着実に向上します。

自分の課題と丁寧に向き合い、ひとつずつ改善していく。
それが、最速で成長するエンジニアの共通点です。

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